request







「大丈夫じゃないなら、素直にそう言って」

「………ごめん。心配かけたくなくて…」

「頼っていいんだよ。俺は華に頼られたい」




キュンッと胸が鳴った気がした。



正直に言うと

この時にやっと、自覚したんだ。




……私、優の事が好きなんだと。




熱とは違う熱さが身体を支配して

鼓動が速く波打つ。



視界に映る優は、キラキラと輝いて見えた。




好きになったのは今じゃない。




きっと、出会ったその日からすでに

私は優に惚れていたんだと思う。



優しい目でニコリと微笑んでくれる



そんな優に、私は一目惚れしたんだ。




「ありがとう、送ってくれて」




その日、優は私を家まで送ってくれた。




「ううん、全然。早く元気になるといいね」

「明日には治ってるよ!」

「ん。期待してる」




その時、優に何かを渡された。




カサっと袋の音が鳴る。




中を見れば、ポカリやゼリー、薬に熱さまシート、それからトローチなど。



風邪をひいている私のために買ってくれた物が入ってた。




「えっ…コレ……」

「医務室に運ぶ前に買っておいたんだけど、渡す前に倒れちゃったから…ちょっと後悔してる」

「っーー、」




や……


優しすぎる………!




なんでここまで優しいんだろう。



みんなに対してもそうなのかな?



そうだとしたら…

なんだかちょっとやだなぁ…


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