request







「じゃあ、もー寝たほうがいいよ」




そう言って、優は私に背を向けた。



その瞬間、なんだか離れるのが名残惜しくなっちゃって。




「………どーした?」

「やっ…ごめん……」




気づけば、優の服を掴んでた。


本当に手が勝手に動いて…




「俺と、離れたくないの?」

「っ…………」





その通り。



その通り過ぎて顔を上げれない。



服を掴んでいた手を逆に掴み返されると




「華。」

「…………」

「こっちみて」




恐る恐ると顔を上げた。


きっと顔は赤い。



マスクをしていて良かったと、

今になってマスクに感謝した。




「俺のこと、好き?」

「………っ…」




真剣な表情で見つめられてる。



その目から逸らすことなんて出来なくて




「………好き…」




本当に、小さな声だったと思う。


マスクをしているし、余計に小さかったはず。



だけど、優はその言葉を聞き逃さなかったみたいで




「……うん、俺も。」




その言葉に驚くのも束の間。





私がマスクをつけているからか

優は私の額にチュッとキスを落とした。




それだけでも、

また熱が上がったみたいに身体が熱くなる。




「治ったら、口にさせて。」




そして


いつものように、

優しい目で微笑んでくれた。




私はその目が大好きだった。

< 392 / 660 >

この作品をシェア

pagetop