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その日から、


私と優は付き合い始めた。




特に変化はないけれど


あるとすれば、共に過ごす時間が増えた。



時間が合う時は一緒に帰ったり

いろんなところにも遊びに行った。




付き合っているなら、至って普通のことだと思う。




いつもと変わらず優は優しくて


ツライ事も、悲しいこともなく


とても平和な時間を過ごしてた。









………この時までは。












「華、ミスコン出たら?」




ある日、友達に言われたソレ。


もう少しで大学祭があるから誘ってきたんだと思う。




「いやー…私そういうの苦手だから」

「えー!絶対出た方がいいって!華なら確実グランプリ狙える!!」

「そーだよ!出なよ!グランプリの賞品はあの遊園地のペアチケットなんだよっ!?」




遊園地の…ペアチケット?



その遊園地は、人気がありすぎて滅多にチケットが取れない物。




(優と…行きたいかも)




密かにそう思ってしまって

友達の話を食い気味に聞いた。




結果、私はグランプリの賞品に目が眩んで


ミスコンに出る事を決めた。



グランプリという称号が欲しいからではなく、

もちろんグランプリの賞品が欲しいから。




もしグランプリになれたら、優を誘って遊園地に行きたかった。




………ただ、それだけだった。

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