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私の通う大学のミスコンは至ってシンプルなもので


舞台に上がって自己紹介と何か得意なことを披露するだけ。




私は歌に自信があったから、

舞台の上で歌を歌った。



意外にも緊張はしなくて

気づけば会場から大きな拍手が鳴り響いてた。




ミスコンに出ることは、優には黙っていた。


大学祭当日に、サプライズとして言うつもりだった。




ちょうど、その会場に優もいたみたいで



ミスコンが終わった後、

すぐに優から連絡が来た。




「ビックリした?」

「…うん。そりゃね」




2人っきりになって、やっとその事を伝えた。



賞品が遊園地のペアチケットだということは、まだ秘密。




「結果はいつでるの?」

「明日だって!でもグランプリ取れるかちょっと微妙だなぁ~…」




賞品が欲しくて出たのだから、

取れずに終わるなんて出た損だ…




「グランプリなんて、取らなくていいよ」

「いやいや、出たからには取りた……っ…」




言葉を遮るように、優は私にキスをした。



その場に誰もいなかったからよかったけれど


その時のキスはいつもより荒々しかったことを覚えてる。

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