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このままじゃ窒息してしまいそうで
優の胸板を強く押しているのに
離れてくれない。
「俺のこと、避けてるよね」
やっと離れたかと思えば、
返事のしにくいその言葉。
だって、事実だから。
避けてるというよりも、逃げてるの方が近いかもしれない。
「……課題で、忙しくて……」
目線が自然と下を向く。
目を見れない。
今、嘘をついてるから。
「俺には嘘つかないでって、言ったのに」
「っ…」
けれど優は私の嘘にすぐ気づいてしまう。
スッと伸びてきた手。
それが私の手首を掴むと、無意識に身体が強張った。
「……いっそのこと、閉じ込めてやろうか。」
その瞬間、頭の中で警報が鳴り響く。
……優ならやりかねないと思って。
気づけば
優の手を振り払ってた。
優の手を振り払うのは、これが初めてだった。
"拒絶"
その言葉が、今の状況に合っていると思う。
自分の手が微かに震えていることを、この時に初めて気づいた。
いつから?
優が現れてからだ。
私は優のことが怖くてたまらないんだ。