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「ほら見ろ」

「………………」




さっき蒼空さんが

「ちょっと待ってろ」

と、無理矢理心音さんを違う部屋に連れて行ったかと思えば、




「男だろ?」




元の姿になって戻ってきた心音さん。




その姿を見て、亜美さんとそれから何故か私も唖然とする。




(は、は、初めて見た…!!)




私自身も心音さんの元の姿は初めて見る。




爽やかイケメン。


そんな感じ。




「久々に男装したわ…」

「男装じゃなくてそれが本来の姿だからな」

「こ、心音さんすごくカッコイイです!!」

「本当~?やだ~嬉しい」

「女口調やめろ」




これなら…ストーカーを追っ払うこと出来るかもしれない!!




「アンタが…私の彼氏役?」




心音さんの元に近づく亜美さん。




「え?やだ待ってよ、本気?私が彼氏役するの?」

「だから女口調やめろって言ってんだよ」

「心音さんなら大丈夫ですよ!ストーカー追っ払っちゃって下さい!!」

「お前演技得意だしな」




蒼空さんが心音さんの肩を軽くポンッと叩く。




「仕方が無いなぁ…」

「それじゃあ、成立ね。」




亜美さんはその言葉を聞くと、心音さんの手を握る。




「あー、あと、そいつの本当の名前”優也(ユウヤ)”って名前だから」

「え!?そうなの!?」

「あらやだ。隠してたのに~」

「だから…女口調やめろって気持ち悪い」



(優也って名前なんだ…)




なんだか男らしい名前。




「じゃ、今日からよろしくねユーヤっ」




そう言って心音さんの腕に絡まりつく亜美さん。


ニコッと笑うこの子自身も、演技力が高そうだ。

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