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《華side》







蒼空と月姫ちゃんがいなくなったあと

この場所はシーンと静けさを増す。




「………………」

「………………」




お互いに、何から話せばいいのか、考えているから。



話さなければいけないことはいっぱいある。

いっぱいあるものの、

どれから話せばいいのか……






その沈黙を破ったのは優からで




「………隣、座ってもいい?」




少し緊張気味の声だった。




「……うん、」




けれど、きっと私も、緊張してる。



私の隣に優が腰掛けると、なんだかこの感じが懐かしいという気分になった。




「………華。」




名前を呼ばれて、恐る恐る優の方へ視線を向ける。



そんな優の手には一つの缶ジュースがあって




「これ、桜井から……」

「………………」

「お前の手で渡せって、そう言われた」




受け取ると、その缶ジュースはまだ冷たくて

蒼空の事だから、きっとこれで目を冷やせってことなんだろうな、と気づく。

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