request

「華……」





そんな私に、優の手が私の頬に触れるか触れないかぐらいの距離まできたけれど





「………………」





触れる前に、その手はゆっくりと下におろされた。




触れてはいけないと、心のどこかで躊躇したのだろう。







「…………ごめん」







私の顔を見ずに


優は顔を俯かせてそう言った。







「……泣かせて、ばかりだね」

「っ……………」






なんで、こんなに、

心が苦しいんだろう。




優の言葉の一つ一つが私の心に突き刺さる。







「……友達のままでいれば良かった。付き合うべきじゃなかったって、何度もそう思うよ。」


「っ、」


「…………ごめんね」







付き合った事を、後悔させてごめん。



そう言っている気がした。




優しい目で、そして苦しげに顔を歪ませてそう言う彼。





私はその目が大好きだったーー







「っーーー、後悔、なんてしてない……」






ギュッと手に力が篭る。





「確かに、付き合っていなかったらこんな事にはなってなかったと思う……

でも、私は、付き合うべきじゃなかったって、

そんな事、思った事ない……！」





少し大きめの声でそう言えば、優は驚いた様子を見せた。






「………好きだったから。

優の事が好きだったからっ…！

友達でいたとしても、きっと私は優に好きだと伝えてた！！

優との思い出はツラいことばかりじゃなかったんだよ…

楽しかった思い出も、幸せだった時間も、沢山あるんだから…」


「っ………」







「出会わなければよかったなんて…そんなこと言わないで…っ…」






これでもかと、涙が溢れる。



それはもう、拭えないほどに。