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私が優さんに襲われて泣いていたあの時


小林や千恵、そして蒼空さんがいてくれて凄く安心した事を覚えてるから。





「うぜぇーから書類整理でもして待ってろ」


「わっ、」





いきなり顔面に書類を押し当てられて


「なにすんのよ!」と、ちゃんとその書類を手に取って、キッと睨みつけると





「なあ、」





なぜか、至近距離に蒼空さんの顔が。





「っーーー!」





唐突すぎて、私、
絶対目を丸くさせてると思う。



急なドアップは心臓に悪いって…





「な、なに………」

(キス…される?)





ジッと見られているから

逸らすにも逸らせなくて

私もジッと見つめ返した。






「……や、なんでもない」






だけど





意外にも先に逸らしたのは蒼空さんの方で





(あれ?キスしようとしたわけじゃないのか…)





なんて、ちょっぴり期待していた私は


やりきれない気持ちになる。





「書類整理しとけよ」





そう言って、こんな気持ちのまま私を置いてどこかに行こうとするから


ギュッと蒼空さんの腕を掴んでしまった。


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