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「ふっ…」
「ちょ、笑わないでよ…」
言わせたのはそっちのくせに…!
笑われると余計に恥ずかしくなるんだから!!
「よく言えました」
「わっ、」
頭を撫でられてクシャリと髪の毛が乱れる。
そのせいで、蒼空さんの顔が見えなくなってしまったけれど
蒼空さんがこれをする時は、きっと照れているから。
顔を見られたくないからだ。
「………ほら、目閉じろよ。」
その言葉と共に、再び私に顔を近づけた。
………けれど
「あー……残念。」
一階から物音が聞こえて、心音さん達が帰ってきた事を意味する。
それに気づいたらしい蒼空さんは、ギリギリの距離で止めた。
寸止め、と言ったものだろう。
階段を登ってくる音。
もう少しで、心音さん達がこの部屋にやってくる。
そう分かってはいるけどー…
「っ、なっ、」
今度は、私から。
離れてしまった蒼空さんの服の襟を掴んで、引っ張った。
前のめりになる蒼空さんへ、私は背伸びをして、口元にキスをした。
少し強引にぶつかるように触れたソレ。
視界は驚いた表情を見せる蒼空さんの顔でいっぱいになっている。