request
「蒼空が、今月末で退職となります。」
その言葉に
私と心音さんは同時に蒼空さんの顔を見た。
「えっ………」
蒼空さんは何も言わずに私達を見つめると、すぐに目線を陽葵さんへと移した。
「3年間、ずっと続けてきた依頼も解決できたみたいだね。」
「えっ、終わったの?あの依頼」
何も知らない心音さんは、すごく驚いていて
「ああ、終わった」
と。平然とした顔で言う。
「いつ?」
「今日」
「急すぎるわ…」
私はただ、みんなの会話を聞いているだけで
言葉が出ない。
「蒼空も今年で社会人になるからね。ずっとここで働くわけにはいかない。………仕方がないことです」
「そうね…それは仕方がないわね…」
「もう蒼空もそんな歳か~」と、心音さんは呟いていた。
「そっ、かぁ……」
私も、やっと声が出せたのはその言葉。
これからもずっと一緒に働いていけるんだと勝手に思ってた。
けど、そっか……
「(社会人…か。)」
そういえば、ずっと聞いてこなかった。
就活どうなったんだろうって。
今度会うときに聞いてみよって思っていたくせに…