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「…………やっぱり、なにかありましたか?」
「えっ?」
コトッ、とカップを置く音。
湊くんを見れば、ジッと見つめられていた。
「浮かない顔されてるので…」
「(うそっ)」
パッ、と顔を隠すように手を添える。
顔に出やすいって言われてるくせに…
しかも、年下の子に心配されるなんて…恥ずかしい。
「ううん、平気!ごめんね~、気遣わせちゃって」
「…………………」
「ほら!ケーキ食べちゃお……っ、」
置かれたフォークに手を伸ばせば、その瞬間、ギュッと握られる手。
「こんな事、ダメなのは分かってます…
けど…そんな顔されると、ほっとけなくて……」
「っ、」
少し冷たかった湊くんの手は徐々に温かくなっていって、ゆっくりと湊くんの顔に目線を向ければ、
少し辛そうな、だけど頬を赤く染める湊くんの姿。
「悩んでいるなら…なにか力になりたいです。
僕じゃ頼りないかもしれないですが…
……僕は、月姫さんの力になりたい。」
ギュウッ、とその手に力が篭った。