request







「…………やっぱり、なにかありましたか?」


「えっ?」





コトッ、とカップを置く音。



湊くんを見れば、ジッと見つめられていた。





「浮かない顔されてるので…」


「(うそっ)」





パッ、と顔を隠すように手を添える。




顔に出やすいって言われてるくせに…



しかも、年下の子に心配されるなんて…恥ずかしい。





「ううん、平気!ごめんね~、気遣わせちゃって」


「…………………」


「ほら!ケーキ食べちゃお……っ、」





置かれたフォークに手を伸ばせば、その瞬間、ギュッと握られる手。





「こんな事、ダメなのは分かってます…


けど…そんな顔されると、ほっとけなくて……」


「っ、」






少し冷たかった湊くんの手は徐々に温かくなっていって、ゆっくりと湊くんの顔に目線を向ければ、



少し辛そうな、だけど頬を赤く染める湊くんの姿。





「悩んでいるなら…なにか力になりたいです。


僕じゃ頼りないかもしれないですが…


……僕は、月姫さんの力になりたい。」





ギュウッ、とその手に力が篭った。

< 442 / 660 >

この作品をシェア

pagetop