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「あっ…えと……」






悩んでいる事は、もちろんある。



だけど、私の今の悩みは


他の人からするとしょうもない悩みだから…





「その言葉すごく嬉しいけど…」





大丈夫だよ、っと言い掛けた。



のに。





「………、やっぱり、僕じゃ頼りになれないですよね…」





シュン…っと寂しげな顔をされてしまうと





「ち、違うくてっ!!


………バレンタイン、の、ことだから……」





慌てて、否定すると共に、しょうもない悩みを打ち明けてしまう。



ほら……湊くん、キョトンとしてるじゃん…





「バレンタイン…ですか?」


「うん…何作ろうかで迷ってて……」





その瞬間、湊くんは何かに気づいたようにパッと手を離す。





「あっ…そうだったんですか……」


「う、ん…」





カァ…っと再び顔を赤くさせる湊くんを見ると、私もそれが移ったかのように顔が熱くなる。





「……ごめんね?こんなしょうもない事に心配かけさせちゃって…」


「いえ……」





少し、無言の時間が続く。




音があるといえば、お皿とフォークが当たる音くらいで


なんだか落ち着かない…

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