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何か喋らなきゃと思って、今食べてるケーキの話題を出そうとした。
が。
「…………なんか、向こう騒がしいね?」
店内の方。……いや、厨房らへん?
さっき心音さんがいた場所辺りが騒がしい。
「………僕、ちょっと見てきます」
「私も行くよ」
「いえ、月姫さんはここにいて下さい。」
そう言われちゃって、立ち上がっていた私は再びイスに座り直す。
湊くんがいなくなったこの空間。
さっきまでは落ち着けなかったのに、今じゃ胸を撫で下ろしてしまっている。
(緊張してたのかな…私)
相手は湊くんなのに。
身体は意外にも強張っていたみたいで、
(急に手を握られたから…?)
私に気があると思うと、なんだか意識しちゃって…
「………、……ん?」
ふと、厨房辺りから聞こえる声に違和感を持った。
未だに騒がしいその場所。
だけど、そこから聞こえてくる声は、私のよく知っている声でー。
「てめぇ…仕事中にどこほっつき歩いてんのかと思えばこんなとこにいやがって…」
「私を思いながら探してくれたの?なんだか照れちゃうじゃない~」
「キモい事言うな頭かち割るぞ」
急いでその場所へと向かえば、
私の目にキラキラと輝いて映るその人。
「蒼空さん…!!」
「あ? なに、お前もいたの」
不機嫌モードの蒼空さんが
なぜかこのパン屋にいた。