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「…なんでここに?」


「コイツが依頼者の忘れ物届けに行ってからかれこれ4時間は帰ってこねーから探しにきたんだよ。」


「よ、4時間…」


「もしやと思ってこの店に来てみたら、案の定いるし」





怒られているにも関わらず、反省している様子のない心音さんを見てチッと舌打ちをした蒼空さん。





「お前なぁ…用事が出来たなら事務所に連絡入れるか何かしろよ…」


「そんな怒らないでよ~

ほら、蒼空もこのケーキ食べてみ……フガッ!」


「お前は反省するって事を覚えろ」





蒼空さんに片手で両頬を挟むように掴まれてしまい、痛そうに顔を歪めてる。





「あー…そういや、陽葵さん笑ってなかったわ」


「ふぇっ!?」


「爆発する前に早く帰った方がいーぞ」





陽葵さんの顔に笑みがないなんて…よっぽど怒ってる証拠だ。



想像すると背筋がゾクッとしてしまう。





「や、やばい……早く帰らなきゃっっ!!!」





その言葉に恐怖を覚えたのか、心音さんは慌ただしくパン屋を飛び出して行った。





「すみません、騒がしくしてしまって…」


「いやいや、全然!!賑やかで嬉しいよ~」


「はあ…」





ペコリと浅川さんに頭を下げていた蒼空さんだけど、



全く怒る様子のない、ニコニコと微笑む浅川さんに、ちょっと戸惑ってる様子。

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