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「なら、お前は先輩としてしっかりしないとな」


「わっ…!」






そんな蒼空さんに、頭を撫でられると、クシャリと髪の毛が乱れた。





「じゃあ事務所戻るわ。お前も迷惑かける前に帰れよ」





"戻る"という言葉が


なんだか無性に私を悲しくさせて





「わ、私もっ」




蒼空さんの後ろをついていく。





「……ケーキは?」


「もう食べた!……あっ、でもちょっと待って!」




蒼空さんをその場に置いて、私は再び裏へと戻る。


食器とか、返しておかないと。





「僕片付けておくんで、大丈夫ですよ」




食器を片付けていれば、後からこの部屋に来たらしい湊くんがそう言ってくれた。





「ありがとう!でも食べさせて頂いたから、コレだけはやらせて!」





そう告げて、湊くんの横を通り過ぎようとした時





「……また、来てください」





ハッキリと、慌ただしく動く私に聞こえるように、そう言う。





「………、うん、また来るね。

浅川さん!ご馳走さまでした!!美味しかったです!」





浅川さんは「また来てね~!」と笑顔で手を振ってくれた。


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