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「お待たせっ」





外にいた蒼空さんと合流すると


蒼空さんは携帯を触っていた手を止めて、ポケットにしまった。





「今日、仕事忙しい?」


「昼から3件きた」


「3件!!最近繁盛してるね~」





なんて、いつも通りの会話をしていたのに



途中信号で立ち止まっていた時





「……目、腫れてる」


「!!」




蒼空さんの手が、


私の目を優しく撫でるように触れた。





「あっ……」

(治ってなかったか…)




家を出た時、腫れていないかちゃんと確認してきたのに。





「寝る前に映画観たら感動しちゃって…!」





なんて、分かりやすいウソ。




蒼空さんが申し訳なさそうな顔を浮かべるから、慌てて嘘をついてしまった。



蒼空さんは何も悪くない。


勝手に泣いた私が悪い。




だから……そんな顔、しないで欲しい。

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