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「私…蒼空さんの笑顔好きっ」





ニヘラと私も笑みを浮かべた。





「ずっと、眺めてたいくらい」





その言葉通りにジッと見つめれば


蒼空さんは口元を手で覆い隠して、

顔を逸らす。




何度見ても蒼空さんのそんな姿は新鮮で





「照れないでさ~ ねっ、見せて?」





と、いつも蒼空さんがしてくるように


意地悪っぽく顔を覗き込んでやれば





「んぎゃっ!」





私の顔面は蒼空さんの大きな手によって鷲掴みにされる。



周りに人がいるというのに……





「なに、すんのさっ!」





嫌がるものの、いつも通りのこの感じに、なんだか心が落ち着く感じ。



嬉しくなって


蒼空さんに視線を合わそうとした。が。





「……どうしたの?」


「…………………」





蒼空さんは違う方向をジッと見つめてた。




「(なんだろう?)」と、自然とその方向に目線がいけば





柱の影で佇む





「陽菜さん…?」





の、姿があった。




何してるんだろう、そんな所で…?




私達には気づいていないらしい陽菜さんは、どこかをジーーっと見つめていて


どこかオドオドしている感じ。

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