request







「アイツ、何してんの」


「何してるんだろう…」


「まるでストーカーみたいだな」





きっと、柱の影で隠れるようにしているから、そう思ったのだろう。




周りにいる人も、陽菜さんの事を不審に思いながらチラチラ見ていて


このままじゃ警察に電話されそうな勢いだったから





「陽菜さん!」





慌てて声をかける。




その瞬間、「ひゃっ!」っと声を上げて驚いた様子を見せた陽菜さんは、目を丸くして振り向いた。





「えっ、あ、月姫さん…」


「何してるの?そんな所で。すごく怪しかったけど」


「えっと……」





制服姿の陽菜さんは、

俯いてもじもじしている。





「カップケーキ、渡しにきたんだろ?」


「!!」




蒼空さんのその言葉に、パッと顔を上げると、素早く何度か頷いた。



言われてみれば、手元に綺麗にラッピングされたあのカップケーキを持ってる。




なるほど……


さすが蒼空さん。鋭い。





「そ、そ、そ、そうなんです…!!」


「落ち着けって」


「す、す、すみません…き、き、緊張しちゃって……」


「とりあえず、深呼吸しろ」





言われた通りに、スーハーと深呼吸をした陽菜さんは少し落ち着いたみたい。


< 451 / 660 >

この作品をシェア

pagetop