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「アイツ、何してんの」
「何してるんだろう…」
「まるでストーカーみたいだな」
きっと、柱の影で隠れるようにしているから、そう思ったのだろう。
周りにいる人も、陽菜さんの事を不審に思いながらチラチラ見ていて
このままじゃ警察に電話されそうな勢いだったから
「陽菜さん!」
慌てて声をかける。
その瞬間、「ひゃっ!」っと声を上げて驚いた様子を見せた陽菜さんは、目を丸くして振り向いた。
「えっ、あ、月姫さん…」
「何してるの?そんな所で。すごく怪しかったけど」
「えっと……」
制服姿の陽菜さんは、
俯いてもじもじしている。
「カップケーキ、渡しにきたんだろ?」
「!!」
蒼空さんのその言葉に、パッと顔を上げると、素早く何度か頷いた。
言われてみれば、手元に綺麗にラッピングされたあのカップケーキを持ってる。
なるほど……
さすが蒼空さん。鋭い。
「そ、そ、そ、そうなんです…!!」
「落ち着けって」
「す、す、すみません…き、き、緊張しちゃって……」
「とりあえず、深呼吸しろ」
言われた通りに、スーハーと深呼吸をした陽菜さんは少し落ち着いたみたい。