request







「俺は事務所帰るけど、お前はどうする?」





蒼空さんは、彼女の後ろ姿を眺める私に、そう言った。





「私は……ここで待ってようかな。」





なんだか…心配だから。



蒼空さんのそばにいたいって気持ちもあるけれど


今は、それよりも、陽菜さんが心配だった。





「ん。その方がいいな」





私がそう言うのを分かっていたかのように


ポンッ、と軽く私の頭を叩くと





「あとは任せた。」





優しく微笑む彼は、ヒラリと手を上げて、行ってしまった。





ああ、ほんと。


蒼空さんの笑顔が好きすぎる。




滅多に見れないその顔を目に焼き付けておこうと思って、ずっと蒼空さんを見つめてた。





任されたという使命感と、笑顔が見れて嬉しい気持ち。




寂しい、と思う気持ちは


今じゃどこかにいってしまった。





(陽菜さん…大丈夫かな)





気になる……




見に行きたいという気持ちになるも


盗み見はダメだと思って、首を左右に振る。





途端





「月姫さん…?」


「へっ!?」





名前を呼ばれて振り向くと





なぜか



この場に湊くんがいる。

< 454 / 660 >

この作品をシェア

pagetop