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この場に私は邪魔だ。




カップケーキを渡せるチャンスなのだから、
2人っきりにさせるべきだと。





「ああっ!用事思い出しちゃった!!」





突然、私がそんなことを言うから


2人は驚いた表情で私を見ていて





「じゃあねっ!!」





そんな2人をその場に残して、逃げるようにこの場から離れる私。





自分の棒読み演技には毎度呆れるけれど


2人っきりにできたのだから、まあ良しとしよう…









少し走ると、



まだ事務所に着く前の蒼空さんを見つけて


ドンっと後ろからぶつかってやった。





「っ、なっ…」





誰だと言わんばかりに眉根を寄せて振り向く彼は、私の姿を見て「は?」と声を出す。





「待っとくんじゃなかったのか?」


「待ってたけど…ちょっと色々あって、逃げてきた」


「なんだそれ」





「意味わかんねー」と呟く彼に、さっきあったことを軽めに説明すれば





「よく分かんねーけど、気を使ったってわけね」


「そういうこと!蒼空さん理解早くて助かる」


「なめんな」





ドヤ顔を見せる彼を横目に



再び私は蒼空さんの隣に並んで、歩く。

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