request
「てか、まだ事務所ついてなかったんだね?」
「ああ、途中ハルトに会ったから。ちょっと話してた」
「えっ!ハルトって、あの迷子のハルトくんだよね?」
「そーそー。迷子のハルトくん。今回は迷子じゃなくて、母親とねーちゃんといたな」
お姉さんもいたのか…
また言い寄られていたんだろうな。
だって、ちょっと疲れた顔しているから。
「ハルトくん、元気だった?」
「変わらず可愛かったよ」
「えっ」
「あ? なんだよ」
「いや……蒼空さんも人のこと可愛いって言うんだと思って…」
「俺をなんだと思ってんの?」
だって、レアなんだもん。
蒼空さんって人のこと、とやかく言わないから。
「私にも1回しか言ってくれたことないし…」
「いちいち数えんなよ」
呆れたような声。
だけど
私を見る目は優しくて
「お前はいつも可愛いよ」
「っ、!」
「そうやってすぐに顔を赤くさせるところとか、可愛い可愛い。」
「んぎゃっ!」
「ほら、これで3回は言ったな?」
犬を撫でるみたいにわしゃわしゃと頭を撫でられて
結構大袈裟に撫でてきたから、髪の毛は当たり前にぐちゃぐちゃだ。