request
お酒の力
request17
お酒の力
バレンタインデー当日。
今日はバレンタインということもあり
大学には小さな紙袋を持った人たちがチラホラといた。
「バレンタインの日に大学に来るの楽しみにしてるのって、男だけだよねー」
机に頬杖をつきながら周りの人を見つめる千恵も、机の上に小さな紙袋を置いている。
そう。今日はバレンタインデーだというのに、成績発表だとかで大学に行かなければいけない日。
「つまんなさそうに言う割には、渡す相手がいるようで」
「ああ、これ?これは小林に」
「えっ!?」
「やだ、ちょっと勘違いしないでよ?そーゆーのじゃないから。小林がずっとチョコチョコってうっさいから、同情として渡すだけだよ」
「あっ、そうなんだ…」
ビックリしたぁ…
千恵、小林の事好きなんだと思っちゃった。
「それにしても、高そうな紙袋だね」
「外袋だけね~ 中は、コレ。」
そう言って中を見せてもらうと
中は市販の板チョコ3枚が入っていた。
「パッと見、高級チョコレートに見えるでしょ?」
その言葉に「確かにっ」と、クスリと笑って首を縦に振る。
中を見ずに貰うと、勘違いしてしまうかも。
「ちょっとしたサプライズ」
「違う意味で驚くね~」
「あー、早く来ないかな、小林」
私の大学はゼミの教室で成績発表が行われる。
全学年が今日成績発表で、
もちろん蒼空さんも大学に来ている。
(チョコいっぱい渡されてそうだな…)
去年はどれくらい貰ったんだろう。