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「あっ、お友達?こんにちは~」
その言葉に、千恵は軽く頭を下げていた。
「何か買いに来たの?」
「あっ、クッキーを買いに…」
「あー!あのクッキー美味しいよね~!」
未だに抱きつかれたままの私。
千恵はクッキー買ってくるね~っとそそくさと行ってしまって。
この状態、嫌じゃないけど、周りに人がいるから少し恥ずかしいや……
と。
「華。そろそろ離してあげたら?」
ポンッと華さんの肩を叩くその人は
少し困った顔を見せる、
優さんで。
「あっ、ごめんね!会えたのが嬉しくてつい…」
優さんのその言葉に、華さんはすんなりと離れてくれた。
「そっか、仲直りしたんだー…」
心の中で呟いたつもりだったけど
ついつい声に出しちゃっていたソレ。
あっ、やばっ。と口元を押さえた時にはもう遅くて
「うん!仲直りしましたっ!」
と。華さんは嬉しそうに笑う。
その隣で優さんも優しく微笑んでいるけれど
私と目が合うと
未だに彼は気まづそうに目線を下にさげる。
もう、気にしていないのに。