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「あー…確かに。蒼空って異常に華の事気にかけてたよね?なんか心配性の親みたいにさ」
「そーそー。もはやデキてると思ってた」
……この話題は、苦手だ。
私自身もどんな反応をすればいいのか分からないし、華さんも困った顔をする。
「蒼空って自分のことあまり話さないからさ、彼女が出来たって風の噂で聞いた時、ちょー驚いたよね~」
「で、実際のところどーなの?
もしかして、俺らの知らないところでこっそり付き合ってたとか?」
話のほとんどが華さんへとふられて
私も華さんを見ることしか出来なくて
「まさか!付き合ってないよ~ 普通の友達!」
華さんはいつも通りニコリと笑う。
それはきっと、嘘の笑顔。
まだ出会ってそんなに経っていないけど、そんな私でもその笑顔が嘘だという事に気づいたのだから
「えー?ほんとに?あっやし~」
もちろん、大学でずっと共にしていた友達も気づいてしまう。
「本当だって!」
「んー、じゃあ、蒼空のこと好きだったり?」
その言葉をかけられた、瞬間
私と華さんの間からヌッと伸びてきた手。
その手が机の上に置いてあるクッキーを掴む。
「あっ、蒼空。遅かったね~」
遠くから聞こえたその声で、振り向かなくても、後ろにいるのが蒼空さんだということを知る。
小さな声で「びっくりしたぁ…」と呟く華さんは、どこか安心した表情をしていて
「余ってんじゃん。全部食べていい?」
この人はたった今チョコを断ってきたくせに、
今じゃ甘いクッキーを口にしている。