request








「まあ、それも理由の一つだけど」






カタッ




半分以上食べ終えたソレを見て驚きつつも



やっとフォークを置いたかと思えば





「バレンタインは好きな人からしか受け取らない」


「っ…………」




彼は優しく、甘く微笑んだ。



目が逸らせなくて



キュンと胸が鳴った。





ガトーショコラの甘い匂いに



甘い空気感




そして





「んっ……」





この時のキスはとても甘かった。





「チョコ、ありがとな。すげぇ嬉しいわ」





一回だけ触れると


またフォークを持って食べ始める。



もう全部食べる勢いだ。




この間の山積みになったカップケーキは「同じ味は飽きる」って言って全部食べてなかったくせに




今はワンホールあったケーキを半分以上食べてる。




………ずっと同じ味なのにさ。


< 479 / 660 >

この作品をシェア

pagetop