request
「まあ、それも理由の一つだけど」
カタッ
半分以上食べ終えたソレを見て驚きつつも
やっとフォークを置いたかと思えば
「バレンタインは好きな人からしか受け取らない」
「っ…………」
彼は優しく、甘く微笑んだ。
目が逸らせなくて
キュンと胸が鳴った。
ガトーショコラの甘い匂いに
甘い空気感
そして
「んっ……」
この時のキスはとても甘かった。
「チョコ、ありがとな。すげぇ嬉しいわ」
一回だけ触れると
またフォークを持って食べ始める。
もう全部食べる勢いだ。
この間の山積みになったカップケーキは「同じ味は飽きる」って言って全部食べてなかったくせに
今はワンホールあったケーキを半分以上食べてる。
………ずっと同じ味なのにさ。