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「ちょっと苦いしやけに食べやすいと思ったら、そういうことか……」





呆れたように溜め息をつく蒼空さんの横で、私はフラフラと身体が勝手に揺れる。




この時、さっきまで近かった距離が離れてしまったことにやけに寂しく思えて





「とりあえずコレはどっかに……」




ガトーショコラをどこかにしまおうと、さらに離れてしまいそうになった彼を





「っ、!? なっ…」





押し倒してしまった。




初めて蒼空さんを上から見下げるように見たかもしれない。





「おいっ…!お前どこにこんな力隠して…!」





ギューっと床に押さえつける蒼空さんの手。



私も分からないんだ。

なんでこんなに力が出るのか。



お酒の力って、すごくない?






ビックリしているその顔がとても可愛くて



その綺麗な顔にスリっ…と擦り寄せた。





「離れていかないでぇ…」





離れてしまうのが、こんなにも寂しいの。



胸が締め付けられるくらいに。





「っ…!」





チュッと首元にキスをした。



その瞬間、蒼空さんがピクリと反応した気がして





「ふふっ、可愛い~…」




私の心をくすぐって



もっとしたくなった。


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