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「………………」
再び腰に回された腕。
ギュッと抱きしめられた。
そのせいで、静かに流していた涙が蒼空さんの服にシミを作る。
彼は、何も言わない。
ただ抱きしめるだけで
私が泣いている事に気がついているのか、優しく背中を叩く。
ポンポンっと、それは本当に優しく。
(なんだか、眠たいや……)
温かいこの場所
心地良いリズムで鳴る蒼空さんの鼓動
背中を優しく叩く手
そのせいで急激に瞼が重くなって、
ふわふわとする頭のまま
ゆっくりと眠りについてしまった。