request








「………ガトーショコラ、全部食べたの?」




ふと、テーブルの上に目線がいく。


そこにガトーショコラがないから

全部食べ切ったんだと思った。





「いや、あっちに置いてるけど」


「あっ、ほんとだ」




指をさす方へ視線を移せば、残り少なくなったガトーショコラがまだ置いてあって


なんであんなところに…と疑問に思えば





「………何も覚えてないのか」


「へ?」





溜め息混じりの声でそう言われた。





「だいぶ酔ってたよ、お前」


酔ってた…?


確かにあの時はあの空気感に酔っていたけど…



けれど記憶がないということから


きっとそれに酔っていたとかではなくて




「………もしかして、」


すぐに、勘づいてしまった。




「ラム酒か……」


「大当たり」







こういう時だけ冴えてるのやめてほしい。

< 489 / 660 >

この作品をシェア

pagetop