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「全然よ~ 投げたって言ってたし、奥の深い所にでも落ちてるんじゃないかしら」
「なんで投げちゃったんだろう…」
「さあ~ ムシャクシャしていたんじゃない?」
心音さんは「あー寒い寒いっ」と呟くものの
濡れている感じは全くなく、
「おいっ……」
川の中に居た蒼空さんは少し濡れていて
「きゃぁあ!!つ、冷たいじゃないのっ…!!」
バシャッ!!と水をかきあげて、心音さんにぶっかけていた。
「お前はいつまでそこで突っ立てるつもりだ…」
「だって服濡れちゃうじゃないのよ!!」
「わざわざ動きずらい服着てくんなっ!!着替えてこい!さっさと!!」
そして、また、バシャッと一発。
「ひゃぁああ!」と声を上げる心音さんは逃げるように私の後ろに隠れるものだから、蒼空さんは「チッ」と舌打ちをする。
イライラしているのか、眉根を寄せる彼に
「こ、これ!見て!!」
チラシを渡せば
「なに?お前が作ったの」
ジッとその紙を見つめる。
もう一枚を心音さんにも渡せば「あら!上出来ね~!」なんて褒めてくれた。
「ワンコロ……」
「可愛い名前だよね」
そう言えば
フッ、と。
ワンコロって名前付けてる人初めて見たわ、と笑う。
蒼空さん最近私の前でよく笑ってくれるから、ちょっと嬉しい。