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触れられている背中から徐々に身体中へと熱が帯びていく。



息が荒れて、思考も停止。


自分の身体じゃないみたいに身体熱くて、とろけそうで…




(ちから……抜ける…)




カクンッ、と。



足の力がなくなって


崩れ落ちそうになるも、



背中にあった手が、それを阻止するかのように、私を抱き止めた。




「はあっ……、っ、」




やっと離れたソレに、
必死に酸素を取り込むけれど



まだ近くにある蒼空さんの顔を見てしまうと、息が詰まって余計に息が出来なくなる。




「慣れろよ、そろそろ」


「だっ…て……」




いつもと違う感じに、私の心臓は破裂寸前で




「これよりも先に、いけそうにないな。」




フッ、と。口角を上げて笑う彼。



床におろされると、ストンとその場に座る私。





ちょうどそのタイミングで洗濯機から乾燥を終えた音が鳴る。




「やっとか…」




なんて呟いた彼は、当たり前のように服を取りに行こうと向かうから




「蒼空さんも…したくなる…?」




なんでこんな質問をしたのかは分からないけれど


蒼空さんも私と同じ気持ちだったらいいなと思って


背中を見せた彼にそう投げ掛ける。






すると


彼は乾いた服を着て




「当たり前。」




真剣な眼差しでそう言った。





「でも、さっき、お前といると心臓が疲れるって……」




私といると、疲れるってことだよね…?



気まづそうに視線を逸らせば


ギシッ、と床が軋む音がして




「お前といると、心臓がうるせーんだよ」




それは蒼空さんが再び私の近くに来た事を表している。

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