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よく見れば、首元についてある首輪にローマ字で名前らしきものが書かれていて




《 SORA 》




そう書いてあるから





「ソ、ラ…?」





呟けば





「ワンッ!」




返事をするかのように、元気に吠える。





「お前、俺と同じ名前なんだ?」


「ワンッ!」





自分と同じ名前だということに愛着が湧いたのか、ヒョイっとソラを抱き上げると、





「ははっ!すっげー可愛い」




何度も可愛いを連発する蒼空さんは、満面の笑みだ。



写真に収めたい気持ちをグッと堪えて





「この子……どうする?」





冷静に、その事について考えた。





「交番に連れて行くべきだけど、近くに交番なんて無いし…」




「うーん…」と考え込む私に対して





「とりあえず、」




蒼空さんは再び首輪に手をかけると





「ここに電話するのが先だな」




そう言うから、私も覗き込めば




名前が書いてあった場所とは逆の所に、この子の家の電話番号らしき数字が書かれていた。



名前しか見ていなかったから全然気づかなかったや…

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