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「ん………」
アラーム鳴ってる…
どこからかアラーム音が鳴っていることに気づいて薄らと目を開ける。
(携帯からか……)
昨日設定していたんだった。
ベッドの上に置いておいた携帯を手に取って止めると、一度大きな欠伸が出る。
「んー…」と伸びをすると、何かに手が当たって
「うん?」
振り向けば、私の隣でスヤスヤと眠る蒼空さんの姿があった。
(いつ入ってきたんだろう……)
全然気づかなかった。
「蒼空さん、朝ですよ~」
「………………」
「起きてくださーい」
「んっ…………」
眠る蒼空さんの身体を軽く揺すればピクリと目元が動いて、とても眠たそうに目を開ける。
「仕事、遅れるよ」
「……………………」
「わっ、ちょっと、」
腰に回された腕。
急に抱きついてきた。
「眠い…………」
そして再び夢の世界へと行ってしまったみたい。だってスースーと寝息が聞こえてくるし……
(か、可愛い…)
蒼空さんに甘えられて嬉しい気持ちと、母性本能をくすぐられるようなその表情に
「5分だけだからね…」
思わず甘やかしてしまう。
眠る蒼空さんは起きている時と違ってなんだか幼くて、普段とのギャップにキュンとした。
(……ほんと、可愛い。)
脳内ではそればかり。
ずっと見てられるなぁ…
「…………ん?」
ベッドの中からひょっこりと現れたソラ。
その顔もなんだかまだ眠そうで
「あーもう…ソラまで……」
私に身体をくっつけてくると、ソラまでもが再び眠りについてしまう。
私から何か眠気を誘うようなものでも出ているのか?そう思ってしまうほど、1人と1匹がグッスリと寝始めてしまうんだもん。
気づけば5分なんて疾うに過ぎているし、だけど気持ち良さそうに眠るその姿を見てしまうと起こす気にもなれない。
(まあいっか。まだ時間はあるし)
もう少しだけ、寝させてあげよう。
………その考えが甘かった。