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(順調、順調!)
貼り紙を9割くらい回収し終えて、残すは浅川さんのパン屋のみ。
たった1日で回収しに来たのだから、きっと驚くだろうな。もう見つかったの!?って。
「……あっ、湊くん!」
中に入ると今日はカフェの方ではなくパンコーナーの方に湊くんがいた。「月姫さん」と湊くんも私の名前を呼ぶ。
まだ午前中ってこともあって、店内はまだ落ち着いていた。
「この間ぶりだね」
「あー…そう、ですね」
この間ぶりとは、
バレンタイン前日の時のこと。
そういえばあの日、湊くんは陽菜さんに告白されたはず…
気まずそうに、そして少し恥ずかしそうにする湊くんはきっとあの日のことを思い出したのだろう。
あの後どうなったのかは分からないけれど、気になるのは事実。だけど聞いてしまうのは図々しい気がして
「昨日貼り紙貼らせてもらったんだけど、今日はそれの回収に来たの!」
知りたい気持ちをグッと堪えて、ここに来た目的を湊くんに伝えた。
「……これですか?」
「そうこれこれ!この子今日見つかったんだ~」
パン屋で人目につく場所と言えばレジ付近で、ちょうど湊くんのいるこの場所に貼らせてもらっていた。
その貼り紙を丁寧に剥がしていれば
「浅川くん!また来たよー!!」
突如勢いよく開いた入り口付近のドア。
満面の笑みで中に入ってきたのは依頼者だったあの陽菜さんで、
「綾瀬さん、毎日来るね…」
「だって浅川くんと話せるのもあと少しなんだもん!あっ!月姫さんだ!お久しぶりです~!」
湊くんの前では顔を真っ赤にしオドオドとしていたあの頃とは違うその感じに正直驚いた。
てことは………
「……付き合った、とか?」
湊くんと陽菜さんの顔を伺うように交互に見る。
少し戸惑うような表情を浮かべた湊くんを見て「あ、違った…?」と気づいた時にはもう遅い。
「いいえ!ただのお友達です!あの日フられちゃいました~」
笑みを浮かべながらそう言う陽菜さん。