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フられたとハッキリそう言ったのに、傷ついている様子は見られなくて。
「でも!想いを伝えたらなんだかスッキリしちゃって、喋ることに緊張がなくなったんです。
まぁ浅川くんのことが好きなのは今も変わりないですけどね!」
ニコニコと微笑みながら湊くんと顔を合わせていた。
湊くんはそんな陽菜さんに少し困ったように笑みを浮かべてる。
「………で、今日もカフェにいるの?」
「そのつもり!あわよくば仕事終わりの浅川くんとお出かけしたい」
「……………………」
心の声がダダ漏れの陽菜さん。
そしてまた、湊くんは困った顔をする。
2人のやりとりは本当に付き合っていないのか疑ってしまうくらい仲良い感じがして、自然と顔がほころんだ。
「……何笑ってるんですか」
「いや、仲良いなって思って」
「そうなんです!仲良いんです私達!ね!浅川くん!!」
「綾瀬さんってほんと元気だよね…」
そう言う湊くんだけど嫌な顔は一つしない。
陽菜さんってなんだか亜美ちゃんに似ている気がする。こう…積極的なところとか。粘り強いところとか。
剥がした貼り紙を複数枚抱えて事務所に戻ると、すでにワンコロちゃんの飼い主である望月さんがいた。
あまり元気がなかったワンコロちゃんも飼い主を目の前にすると尻尾をこれでもかと振りたくっている。
「もう…心配したんだから……」
「ワンッ!」
安心したのか涙を流していた望月さんを見て、もらい泣き。蒼空さんに見られていたらきっとイジられていただろう。
「飼い犬の捜索は一件落着ですね。」
「はいっ……」
何も言わずにハンカチを渡してくれた陽葵さんに軽く頭を下げた。
「あとは、あの子のみです。」
陽葵さんが言うあの子とはソラのことで、今はソファーの上でまるで人間のようにゴロゴロとしているその姿。
「さっき電話してみたところ、夕方には迎えに来れるみたいで……」
「そうですか、じゃあ何か食べさせてあげないとですね」
「ドックフードなら持ってきていますよ!」
念の為持ってきていたソレをリュックの中から取り出す。
音で感じとったのか、ソファーにいたソラは尻尾を振って私の元へと寄ってきた。
「ワンッ!」
「はいはい、ちょっと待ってね~」
何かお皿はー…と、キッチンへ向かう。
プラスチックのお皿にドックフードを入れて床に置けば、勢いよくそれに食いついたソラ。
よっぽどお腹が減ってたのかも。
「キミの飼い主さんってどんな人?」
通じるわけがないのに、
そうソラに話しかけた。
うん、まあ、通じないよね。
私の声に聞く耳なんてもたず、バクバクと食べちゃってるし。
それはもうすごい勢いで。
「そんなに早く食べたら喉詰まっちゃうよ~」
「ワンッ」
「え、なに、大丈夫って?」
きっとそう言っているのかなって。