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「そーいえば、さっきの犬の飼い主は迎えに来た?」


「あっ、うん。ついさっき迎えに来てたよ」


「そうか。お前も早く迎えに来てくれるといいな」





優しげな目をして腕の中にいるソラにそう声をかける蒼空さん。




今日、ソラもやっと飼い主の元へ帰れる。



嬉しいことなのに、なんだかちょっと寂しいや。



たった1日一緒にいただけなのに、こうも別れ難い気持ちになってしまうとは。





「ソラ、ずっとここにいてくれないかな~」


「そうだな」





意外にも、同じ気持ちらしい。





今日は比較的暖かい気候で


河川敷に吹く風がとても心地良い。




ボーッと川を眺めていれば





「そろそろ始めるか…」





スクっと立ち上がった彼。



腕の中に居たソラを抱き上げて、私へと渡す。




その瞬間、ソラは「クゥン…」と寂しげな鳴き声をした。




蒼空さんと離れるのが嫌なんだな…

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