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「んー…」と伸びをする蒼空さんを横目に、
「ねえ、蒼空さん」
川を眺めていて思ったんだ。
「投げたってことはさ、向こう岸に落ちてたりしないかな?」
例の投げられたブレスレットが。
「向こう岸ねえ…」
目を細めて奥を見る彼。
蒼空さんはきっと目が悪い。
だって何度かメガネを付けているところ見たことがあるし。今はコンタクトなのかな?それか、裸眼か。
「女の力で向こう岸まで投げれると思うか?」
「それは分かんないじゃん。その依頼者、運動神経抜群なのかもしれないよ?」
もしくは、投げる系のスポーツをやっていたとかさ。
「………まあ探してみるか」
「私も行く!」
「ワンッ!!」
「…………………」
私の顔をジッと見てくる蒼空さん。
その顔は「足引っ張んなよ」って顔ですよね。
約束は出来ないけど、
「大丈夫!もうあんな失態しないって!」
とりあえずそう言っておこう。