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「蒼空さんと1泊旅行っ!!?」
「ちょっ!声大きいってば…!」
次の日、久しぶりに連絡を取り合った私と千恵はいつものようにとあるデパートのカフェにいる。
「ごめん、ちょっと興奮しちゃって」
「いや…まあ、気持ちは分かるけど……」
私もだいぶと言っていいほど気持ちが高揚しているし。
だって明日からなんだもん!!
「いいなぁ…羨ましいってほんと」
「へへっ…」
「うわっ!ウザッ!」
言われて、緩む口元をキュッと閉じる。
今日1日ずっとニヤケが止まらなさそうだ。
「付き合ってから初旅行だよね?」
「うん!」
「ライターの手伝いなら、しおりか何かないの?」
「あるよ!千恵に見せたくて持ってきたんだ~!」
「ウザいけど普通に見てみたい」
はいっ!と旅のしおりを手渡せば「どれどれ…」と見始める千恵。
実は私、まだ最初の1ページしか見てないけど。
プランを見ちゃうと夜寝れなくなりそうで。
「ほぅ~?」
ニヤニヤしながら3ページ目辺りを見る千恵。
「なになに?」
そんな顔されたら当然気になってしまう。
前のめりになって覗き込めば
「露天風呂付きとか、やっらし~」
「えっ!!?」
バッと千恵からそのしおりを取って、確認する。
「か、書いてる……」
「見てなかったの?しっかり赤文字で書かれてるのに」
晶さん曰く、赤文字で書かれてあることは重要なことらしい。
しかも、その隣に小さな文字で
" 一緒に入ってみてほしい "
これは下線付きで。
……重要中の重要だということだ。
「ひぇ……」
「え、何その声」
ケラケラと笑う千恵に対して寧ろ笑えない私。
さっきのウキウキ気分は一瞬にしてどこかにいってしまった。
ウキウキというよりもドキドキが強くなってる…。
一緒に入るのが嫌とかじゃなく、ずっと求めてきたことがついに…って。
(今日寝れそうにないや……)
とりあえず大人っぽいランジェリーを買っておこう、そう思った。