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その後は満開の桜の木の下でご飯を食べて、今は作ってきたデザートをつまみながら景色を眺めている私達。






「蒼空さんって料理上手だよね。練習とかしたの?」






今日はお互いに手作り料理を持ち込むという決まり。



だから蒼空さんの手料理もさっき食べさせてもらったんだよね。




しかも私よりも豪華だったから、私の持ってきた物を見せる時、ちょっと躊躇っちゃった。





「してない。けど、一人暮らしはじめてから自然と出来るようになってたな」


「それにしても上手すぎるよ!カフェのランチボックスかなって思っちゃったし」


「……褒めすぎ。4年間も一人暮らししてたらそれなりに出来るようになるって」






そっか、蒼空さんも1回生の頃から一人暮らししてたんだ。



だとすると、私も4年間一人暮らししてれば、蒼空さんのレベルまで上達するのかな?






「あれとか超美味しかった!あの~あれ、ハムとチーズの甘じょっぱいやつ」


「ああ、フレンチトーストサンド?」


「そうそれ!そんなの作ってきてくれるとか、女子力の塊じゃん」


「それ褒めてんのかよ」


「褒めてる褒めてる!!」






ジトーッと気に食わないような顔をして見られているけど、本当に褒めてるんだってば。






「簡単に出来るからよく朝に作ったりしてんだよ。」


「へぇ~ 自分で考えたの?」





「……いや、華に教わった」




「あ、あ~…そうなんだ」







ちょっと気まずそうに言われると、私も気まずくなってしまった。





気まずくなる内容ではないけど…さ。



華さんと蒼空さんは依頼でずっと一緒にいたって言っていたし、付き合ってもないって言っていたけど、






実際のところ……






「………華さんとは…本当に何もなかったの?」


「…………は?」


「いや!やましい事はないって分かってるんだけど…!………私と付き合う前、とかも、何もなかったのかなって……」






蒼空さんのことを意識し始めた時のこと、





朝のあの講義のときに





『今回こそ単位取れないとやばいね~ 』


『お前が朝起きねぇーから俺も巻き添えなんだよ』


『そんな事言っても蒼空だってもう一回寝てるくせに~』




そんな会話をしていた。





確か、あの日の前日に蒼空さんはプリンを買っていて、それを華さんが朝に食べたと言っていた。






……それってさ、一緒に過ごした、ってことだよね。






今更だけど思い返せば返すほど気になっちゃって…

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