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いつもと変わらぬ土曜日。
目を覚まして、外を眺めればとても良い天気だった。
(もし今日会えていたら…)
良い天気の中、一緒に外を歩けたなって。
まあ思うだけで叶いはしないけど。
「体温測ろ~…」
気分が乗らないまま体温を測る。
よりにもよって、熱は無く
平熱まで下がっていた。
せっかく会う約束を断ったというのに……いっその事上がってて欲しかった。
会えたかもしれないという
断った事に対する後悔が脳内を支配する。
…と。
「っ!」
携帯からブザー音が鳴り、まさか!と思って中身をチェック。
蒼空さんからかも!そう勝手に思っていたが、相手はどうやら千恵からで。
昨日忘れ物したから昼に取りに行くとの連絡が。
(……うん、まあ、そうだよね)
千恵の忘れ物らしき物を机の上に用意して、再びベッドの中に潜り込んだ。
もう期待しない。
期待するだけ疲れる。
私はまだ病み上がりなんだ。
だったら今日1日休んでるべきだし。
必死に自分自身にそう言い聞かせて
二度寝を試みたが、寝れず。
ピンポーン、と。
来客音が昼辺りに鳴ったものだから、千恵が来たんだと思った。
昼頃に忘れ物を取りに行くって言ってたし。
「はーいっ」
ガチャッと玄関のドアを開ける。
「千恵、忘れ物ってー…」
これ?
そう聞くはずだったのに
「………、……え。」
途中で言葉が詰まる。
「よお、病弱。」
だって
今日会えるはずのない人が
「そ、らさん…?」
目の前にいるのだから。
「え、待って、幻覚?」
「は?」
「会いたすぎて幻覚見てるよ私」
「幻覚じゃねーよ」
「やばい…幻覚と会話してる」
「………………」
「イタッ」
額に軽い痛み。
それはデコピンを1回食らったからで
「しばくぞ」
眉根を寄せて不機嫌そうにする彼が
しっかり自身の瞳に映っているのだから
「幻覚じゃない……」
「だからそうだって言ってんだろ。
何度も言わ──」
蒼空さんの言葉を遮って
裸足だというのに
夢で見たあのシーンと同じように
目の前にいる蒼空さんへ飛びついた。
「おい…」
「蒼空さんがいる…ちゃんといる!!」
「………いるけど」
外だというのに構わず抱きつく私。
だけど蒼空さんも
しっかり私を抱きとめてくれていて、
「久しぶりっ…!!!」
「ん。久しぶり」
「会いたかった…!」
「………、……俺も」
照れ臭そうにするその顔も
ずっとずっと見たかった。