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(私…蒼空さんを傷つけたんだ)





見たことのないその表情に


ギュッと胸が締め付けられて


いつもなら勢いよく抱きつくんだけど、






「ごめんっ……蒼空さん」






蒼空さんの心の傷をどうにか和らげようと




私が、蒼空さんを抱き締めた。






「ごめんね……本当にごめん」


「……うぜえ」


「うざくてごめん。蒼空さんは私が寂しくならないように指輪をくれたのに…寂しがってごめん。」


「おい……」


「こんな私でごめ……っ」







言いかけた時、



蒼空さんに噛みつかれてしまった。





チクリと軽い痛みが鎖骨に走り顔を歪める。







「謝んな。うぜぇから」


「っ……だって」


「怒ってねーよ」


「お、怒ってるじゃん…」






この痕が、怒ってる証拠じゃないの…?





チラリとその場所に視線を向ければ



蒼空さんも気づいたようにその部分を撫でた。







「もう満足した。」






そしてふわりと笑い







「俺、割と嫉妬深いらしいから」






伸ばされた髪の毛を掬って







「あんまり妬かせんなよ」






チュッと軽いキスを落とした。








(あぁもう…どうしよう。カッコよすぎてムカつく…)






会っていない間に一段とカッコ良さが際立ってる気がする。



こんなの……絶対向こうでもモテてるよね。






「私ね…蒼空さんと話がしたい。

今の現状とか、会ってない間にあった事とか、これからの事とか。

……蒼空さんに話したいことが山ほどあるし、聞きたいことも山ほどあるの。


だから……今日は、いっぱい話をしてほしい」







そう言えば、蒼空さんもコクリと頷いて







今まで話せてなかったことを一つ一つ


お互いに話し合った。






私は、



大学で優さんに会ったこと


グラフィックデザイナーが気になっていること


何でも屋に湊くんを誘ったこと




他にも多々あるけれど、詳しく話したのはその3つ。






優さんの話をした時は、

蒼空さんの目がギッと細くなってた。



気に食わない。そんな顔。





まあ……蒼空さんはまだ優さんのこと気に食わないらしいから。







「湊クン、ね…」


「うん…ダメだった?」






何でも屋に湊くんを誘ったこと。それを話すのは、正直迷った。



だってさっきの事もあるし……また怒られると思って。






「………いや、いいと思う。」





けれど、意外にも蒼空さんは賛成派みたいで。






「手伝ってくれたあの時、やけに真剣に探してくれたから。長期戦になったとしても最後までやり遂げそうだし。


あとアイツ……人と関わるの苦手だろ。
1人でいれるならずっと1人でいたいタイプ。
まあ…なに?人見知りってやつか。それを治したいなら、あの仕事向いてると思うよ。」






想像していたよりも、しっかり湊くんの事を見てる。






「蒼空さん、他人のこと興味ない人だと思ってたのに…」


「は?興味ないけど」


「それにしては湊くんのことちゃんと見てるじゃん」


「ああ、それは──…」






と、何かを言いかけていたのに





少し経って、







「………勘?」


「え?」


「勘」


「えぇ…」







やけにシンプルな回答。


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