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恐る恐る蒼空さんの顔を伺うも、
その顔はどこか穏やかで。
「甘えてみるのも悪くないな」
「っ!」
え、まって。
まってまってまって!!
いや、もう、ほんと、
幼い子供みたいで
(可愛いすぎるっ…!!!!)
柔らかくふわりと笑ってた。
口角はいつもみたいに意地悪く上げるんじゃなくて、緩く上げる感じ。
目だって弧にして笑うんだから。
不意にいつもは見せない表情を見せられると
「………何してんの?」
パパッと周りを確認する。
ここは私の家だって分かってるけど、
「そんな顔……他の人に見せたくないなって…」
さっきの表情を見られるのは私だけであってほしい。
他の人に見られたくない。
「ちょっとした独占欲的な…」
ワシャワシャと頭を撫でる手は止めないまま、唇を尖らせる。
蒼空さんのあんな表情……外で見せていたら、周りの女の人達なんていちころだってば。
「どんな顔だよ」
本人は自分がした表情に気づいてない様子。
それが1番怖いけどね。
無意識に出ていたのだとしたら、この先恐ろしすぎる。私のいない場所で何人の女の人を射止めているのか。
「でもそれ、分からなくもない」
頭を撫でていた手は蒼空さんによって掴まれてしまい、ゆっくりと顔の前へと下ろされた。
「俺も、お前が見せる表情独り占めしたいし」
「っ、」
チュッ、と。
指輪のついた手に蒼空さんの唇が触れた。
そして、
さっきの柔らかい表情とは真逆に
「例えば、」
男らしい表情を浮かべて
「さくらんぼみたいなその顔とか」
私を押し倒した。
「そ、そらさ……っ」
短パンから見える素肌をサラリと撫でられて
「それから、潤んだその目」
「っ…………」
「火照ったその顔も全部、
俺以外には見せんなよ。」
今日の蒼空さんは
ギャップばかりで
「む、無理…っ」
「は?」
「心臓が爆発する……」
「何言ってんだ」
きっと蒼空さんには分からない。
好きすぎて、どんな表情にもキュンキュンしてしまうことを。
怪訝そうに私を見るその目。
その目でさえも好きだと言える。