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「………あれ?蒼空さん、」
その目に見惚れていると、不意に蒼空さんの首元へと視線が動く。
「ネックレスなんてしてたっけ?」
今日1日ずっと付けてたのかな?
全然気づかなかったそれ。
てゆーか、蒼空さんがネックレス付けているなんてちょっと意外だ。
「あ──…」
パッと私から離れると、そのネックレスを隠すようにしてそっぽを向く。
まって、その反応……
「……誰かから貰ったの?」
だから隠しているんじゃないかと思った。
「ちげーよ」
「じゃあ見せて」
「………無理」
「怪しい!!!」
やっぱり向こうで何かあったんだ!!
蒼空さんまたモテてるんだ!!
「隠し事は無しだよ!」
「わっ、おいっ…」
背中を向ける蒼空さんに飛びついて、後ろからネックレスを掴む。
シャラッと手に取ると
「…………指輪?」
「………………」
「だ、誰から貰ったの…指輪なんて」
「…は?」
「何よその顔…」
こっちは酷く傷ついているというのに、蒼空さんは「お前それ本気で言ってんの?」と、哀れみの目。
「…おい月姫。手、出せ」
「な、なに…」
「そっちじゃなくて左。」
言われた通りに左手を見せる。
「これとこれ」
そう指で示すのは、
私の薬指にある指輪と
蒼空さんの首元にある指輪。
「ペアリング。」
「…………………」
「さすがにその言葉の意味くらいわかんだろ」
思考がなぜか停止した。
「……………ふぇ!?」
そして数秒後、本日2度目のヘンテコな声。
「え、えっ!こ、これ、ペアリングだったの!?」
「…………………」
「え、本当にペアリング?わっ、ほんとだ、ペアリングだ!…………って、蒼空さん顔真っ赤」
ペアリングということに夢中で気が付かなかったけど、不意に蒼空さんの方を見れば頬を赤く染めていた。
それもまた意外中の意外で
「もしかして、この指輪ペアリングだってこと言うの恥ずかしくて隠してたの?」
冗談で言ったつもりが
「…………………」
何も言い返してこない。てことは……