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「月姫さん」


「………………」


「月姫さんっ」


「わっ」






依頼の紙をボーッと眺めていると、いつの間にか隣にいた湊くんに声をかけられた。






「あ、ごめん、なに?」


「もう依頼者の方帰られましたよ…?」


「ん?うわっ!ほんとだ…!!」






やばすぎる。
依頼者の前でボーッとしていたなんて。






「最近ずっと心ここにあらずって感じよ?」





「どうしたの?」と、心配そうに心音さんも傍へとやってきた。




心音さんと一緒に依頼の話を聞いていたから、ボーッとしていた私に代わって心音さんが依頼者を下まで送ってくれたらしい。






「すみません……」


「何か考え事?」


「考え事というか……なんだろう。ちょっといっぱいいっぱいになってしまって…」


「あら~パンク寸前じゃないのっ」






優しく頭を撫でてくれる心音さん。







「今大変な時期なのかもしれないけど、1人で抱え込んじゃダメよ?」


「はい……」


「一度に全てはこなせないからね。」


「………………」






有難い言葉だけど、



私と同じように勉強をしていた千恵があんなにスコアを上げているのだから、なんだか焦ってしまう。





同じように勉強してたのにな…







「月姫さん…ちゃんと眠れてますか?」


「え?あ、うん。大丈夫だよ!」


「…………………」






ジッと湊くんに見つめられる。




この時、湊くんは頬を赤く染めることはなく







「み、湊くん…?」


「3秒待って下さい」


「あ、はい」







言われて、逸らしたい気持ちがありながらも

言われた通りジッと堪えた。


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