request








「わ、たしっ……今日卒業したよ…?」



「うん」



「TOEICも資格も学業も仕事も、それから就活だって……全部、頑張った…っ」



「…うん」



「だから、もうっ……」







涙を拭って







「蒼空さんに会いたい気持ち、切り捨てなくていいんだよね…?」






震える声でそう言えば、




彼は本当に優しい顔をして







「だから今、こうやって会えてるんだよ」







倒れていた身体を起こし、抱きしめてくれた。







「よく頑張ったな。すごいよお前は」



「っ………」







ああ、もう。




綺麗な姿を見せたかったけど、もう見せられないや。……涙が止まらないんだもん。







私の頭を撫でてくれるその手が本当に温かくてホッと安心してしまう。


< 651 / 660 >

この作品をシェア

pagetop