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「たくっ…さっさと探そうぜ」




呆れたように溜め息をつく蒼空さん。それに対して私は、結構心音さんの服装を楽しみにしている。



毎回驚かされる服装だから、今回はどんな格好で来てくれるんだろうか。




「で、どの辺に落としたって?」

「えーと…」




カサッ、とポケットから西島さんに書いてもらった紙を取り出した。



その紙には、その指輪の特徴と落としてしまったと思われる場所が記入されている。




「落としてしまった場所は…と、大きな木が沢山ある場所、そして浅瀬。……まあ、この辺りかな」

「本当にここであってんのかよ…」




ブツブツ何かを言いながら探し始めた蒼空さんに合わせて、私も石をどかしたりと、失くした指輪の捜索を開始した。




「指輪の特徴は、内側に”ichika”って小文字で書いてあるみたい。」

「ふーん、了解」




なんだかんだ言って、蒼空さんは始めると真剣にするタイプ。




「寒い寒い」なんて連呼していたのにも関わらず、今はもう素手で川の中に手を突っ込んでいる。




こういう所は、さすが先輩だな~って思うけど




「ゴミポイ捨てし過ぎなんだよクソが」




ビニール袋を片手にゴミまで拾い始めた蒼空さん。




依頼をしながらも違う事までし始める、なんだかほんと変わった先輩だと思う。

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