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「あーー、見つかんねぇー」
捜索を開始して二時間が経過した頃だった。この辺りは蒼空さんのおかげでゴミ一つ落ちていない。
「やっぱりここじゃないのかな…もっと奥の方なのかも」
「ちょっと行ってくる」そう一言告げて、長靴を履いた足で徐々に深い場所へと向かう私。
だが、
「っ…!?なっ…!お前バカかっ!!」
突然、後ろで蒼空さんが叫んだ。
(え?)
その声に反応した私だが、
振り向く前に
「っ!!!」
ガクッ!と身体のバランスを崩した。
まさか川の中に段差があるなんて知らなかったし、ましてやこんなに深くなるとは思ってなかった。
「うそ……」
一気に深くなったそれ。瞬時に伸ばされた蒼空さんの手をしっかりと掴んだものの、
「なっ…、ちょ、ウソだろ…!」
全くの無意味で、蒼空さんを道連れにしながら川の中へと落ちた。
バッッシャーーン!!
なんてド派手な音と共に、その冷たい温度が一気に身体中に触れたからか、
私はそこで意識が飛んでしまったらしい。