request





「あーー、見つかんねぇー」




捜索を開始して二時間が経過した頃だった。この辺りは蒼空さんのおかげでゴミ一つ落ちていない。




「やっぱりここじゃないのかな…もっと奥の方なのかも」




「ちょっと行ってくる」そう一言告げて、長靴を履いた足で徐々に深い場所へと向かう私。




だが、




「っ…!?なっ…!お前バカかっ!!」




突然、後ろで蒼空さんが叫んだ。




(え?)




その声に反応した私だが、
振り向く前に




「っ!!!」




ガクッ!と身体のバランスを崩した。




まさか川の中に段差があるなんて知らなかったし、ましてやこんなに深くなるとは思ってなかった。




「うそ……」




一気に深くなったそれ。瞬時に伸ばされた蒼空さんの手をしっかりと掴んだものの、




「なっ…、ちょ、ウソだろ…!」




全くの無意味で、蒼空さんを道連れにしながら川の中へと落ちた。




バッッシャーーン!!




なんてド派手な音と共に、その冷たい温度が一気に身体中に触れたからか、




私はそこで意識が飛んでしまったらしい。

< 8 / 660 >

この作品をシェア

pagetop