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「ほらやっぱり。なんで強がんのよ」


「強がってねーよ」


「それが強がってるってゆーの!ほら、水ちょうどさっき買ったばかりだから飲みなよ」




はい、っとさっき買ったばかりの冷たい水を渡せば、すんなりとそれを受け取る蒼空さん。




「ん、…サンキュー」




……なんだか、


今の蒼空さんはいつもと違って弱々しくて




(可愛い………)




気づけば、蒼空さんの頭を撫でていた。




「…………………」




私の目をじっと見る彼。



私、何してるんだろう。



ふと、我に返った時には


その手は蒼空さんによって掴まれていて




「あ…、そ、そらさ………」




お酒のせいでトロンとした目。

その目が私の瞳を捕らえて、離さない。




(ダメ…流されちゃ……)




頭では理解しているのに、


身体は何故か言うことを聞かなくて




「っ……………」




腕を引っ張られた時にはもー遅い。



触れ合う唇。



お酒のせいなのか、

蒼空さんの唇は少し熱くて




(あぁ…私、蒼空さんの事好きなんだ……)




拒まなかった事、


それが私にそう理解させた。

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