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そう思って蒼空さんの手元を見れば、あの遊園地のキャラクターの一つであるウサギのキーホルダーを持っていた。



それって………




「蒼空も意外とそーゆーの好きなんだ~?」


「ちげーわ黙れ」




チッ、と舌打ちをされて「こわ~い」って、私の腕にひっつく亜美ちゃん。




「あいつに買ってこいって頼まれたんだよ」




"あいつ"



聞かなくてもわかる、たぶん彼女のこと。




「あら、行くって伝えてたの?」


「一応な。」


「あんた…意外と優しい所もあるのね」


「あ?なめてんの?」




第二回戦。



また言い合いが始まろうとしている中で、




「……あ、私、コレ買ってきます!!」




私は目の前にあった商品を何も考えずに取って、逃げるようにしてその場を離れた。




「亜美も買いに行く~」




亜美ちゃんも私の後をついてきていたみたいだけど、今の私にはその声すら聞こえていなくて。




(苦しい…………)




彼女の存在を知る度に、胸が苦しくなる。

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