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……もし蒼空さんの彼女だったら、断ったとしても家まで送ってくれていたのかな。




(………ダメダメ。)




そんな想いは、すぐに頭の中から放り出す。


そんな事考えちゃダメ。


また苦しくなるだけ。


自分で自分をしんどくさせてどーする。




「ねぇ蒼空ぁ~、疲れたーーー!重いーーー!半分持ってぇーーー!」


「知らん。」




両手いっぱいにお土産を抱える心音さん。


小走りで蒼空さんに近寄るけれど、蒼空さんは全然速度を合わせようとせずにスタスタと心音さんを置いていく。




「意地悪!!!でも残念ね!私もちょうどそっち方向なのよ!………って、無視しないの蒼空ぁー!!!」




ガン無視……



コイツとは赤の他人です。周りにそー伝わるくらい心音さんを置いて行く蒼空さん。




「もう!可愛くないんだから!!


あ、月姫ちゃんはまた次のシフトでね♪」




振り向くと、私に向かってパチッとウィンクをする。


それに応えるように、私も小さく手を振った。

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